デコーダのアナログ運転について 更新2006/11/20
全てのNGDCCデコーダは、アナログ運転における性能品質保証はできません。
性能品質問題とは、以下の事柄を示します。
パワーパックで方向制御がうまくいかない。
一方向にしか走らない。
通常パワーパックでスムーズに運転できない。
ラビットスタートとなる
電圧を下げると急停止する。
速度調整がうまくできない。
そもそも、DCCデコーダは初期より、DCC環境での運転を前提として開発されており、アナログ走行機能を有していても、完全アナログ状態と同レベルの性能を実現したものではありません。
これまで世界中で色々なメーカーからリリースされている、デコーダの中には、アナログで運転した場合には、デコーダに搭載されたマイコンが暴走状態になり、動作が不安定になったり、CV値が出鱈目に書き換わったりするものがあったりしました。
最近の、サウンドデコーダでは、アナログ走行に重点を置いたものも出現しているのと、細かい工夫により、以前と較べて飛躍的にアナログ走行の性能が向上したものが出てきています。
しかしながら、DCCをメインに運転を考えた場合には、トラブルをなるべく減らすために、CV29のbit2=0 (アナログ運転無効化) することを推奨するモデラーも多くいます。実際いくつかのコマンドステーションで、電源ONするときに、一定期間直流電圧が線路に流れる製品があり、タイミングによって、デコーダがアナログ走行と勘違いして走行始めるケースもあり、そうなってしまえば、DCCで制御出来ず、暴走状態に陥ってしまうという事例もあります。
ですから、ご自宅で何も問題の無かった、デコーダ搭載車輌が、運転会で暴走してしまうという現象も無いとはいえません。
ちなみに、NMRAの規格では、どれだけの時間、アナログ信号(直流)が線路に流れたら、アナログ運転と判断するかという規定はなく、デコーダメーカの判断基準に任されています。
ここで、デコーダが、アナログ運転が不得手な理由を説明しておきます。
デコーダに搭載される、マイコン の動作電圧は、品種や動作周波数などにより、2V-5V必要です。
整流回路が入っている関係で、線路電圧が最低3.2V-6.2V必要となります。
最近のモーターは、1V程度から回り始めますので、最低動作電圧のギャップがスムースな運転を妨げます。
デコーダには、電源スイッチがありません。線路に流れる電圧が一定以上に上がると動作をはじめます。そのためマイコンは、動作可能電圧ギリギリの電圧のときに、不安定になり暴走しやすくなります。
最近の一部のマイコンでは、高性能な電圧低下検知リセット回路を有しており、特別な仕組みを組み込まなくても、暴走しにくくなっておりますが、やはり、まれに暴走してしまうこともあるようです。
ですから、アナログ運転でパワーパックのダイヤルをゆっくりと上げるような操作は、デコーダ内部で、いろんな安全装置がめまぐるしく作動している状態といえます。
また、PWM方式のパワーパックでは、進行方向が定まりません。以下のオシロスコープの画面は、PWM式のパワーパックの出力がデコーダにどのような波形で入力されているかの様子を観察できます。
前進方向 | 後進方向 |
パルスが出ていない部分は、デコーダ回路のコンデンサで補うので、ダイヤル最少位置で無い限り比較的安定して運転 | パルスの谷の部分がノイズとなり、マイナス電圧として観察され、誤動作の確率が高くなる |
以上のように、単なる、線路電圧のプラス/マイナスの判定では、ノイズにより極性判定に失敗するため、細かなテクニックにより判定する。精度を高めるために、電圧を測定して判定する場合もあります。
したがって、アナログをサポートするデコーダでも、PWM式をサポート対象外とするケースが多いです。
最も適したパワーパックは、負荷によって電圧変動のしにくいトランジスタ方式のパワーパックとなります。
NGDCCデコーダの取り組み
冒頭で宣言いたしましたとおり、アナログ運転における性能品質保証はできません。
これは、残念ながら開発者として、満足のいくレベルに達していないと判断するからです。
しかし、製品初期の頃と較べると、アナログ性能はそれなりに進化しておりますし、日々改良を加えております。
ただし、DCC-ANALOGにまつわる、過去からのいきさつをご存知でないお客様も増えつつあり、例えばアナログ前提の、QSIデコーダなどからDCCに入門されるようなケースですと、現状のNGDCCのアナログ品質ですと、不良品であると判断されてしまう可能性が高く、あえてアナログ運転は品質保証外と宣言することにいたしました。
ですから、NGDCCの最近のデコーダをご使用になった上で、もしアナログ品質において満足されましたとしても、全製品あるいは全バージョンでそれが保証されるわけではないことをご理解いただきたいと思います。
また、ノイズ等で品質に影響する部分も多々ございますので、同時に2つ購入されたデコーダが、アナログ運転で同じ性能を示さないケースもあることをご承知下さい。